ナノレイヤ被覆方式による被覆物
专利摘要:
基板22と被膜とを含む物品が提供される。本物品は、チップ形成材料除去工程において性能を改善するように示された切削インサート20、あるいはチップ無し形成工程のための耐摩耗部品であってよい。1つの耐摩耗被覆方式40はアルミニウム、クロムおよび窒素を含有する下層42と最上層46とを有する。被覆方式40はまた、チタン、アルミニウム、クロムおよび窒素を含有する中間多周期性ナノレイヤ被覆方式44を含む。中間多周期性ナノレイヤ44被覆方式は複数の組の交互層配置50、52、54、56、58、60、62を含む。交互層配置50、52、54、56、58、60、62のそれぞれは、チタン、アルミニウムおよび窒素を含むベース層64と、複数の組の交互ナノレイヤ68、70、72、74、76、78を有するナノレイヤ領域とを有する。交互ナノレイヤ68、70、72、74、76、78のそれぞれの組は、アルミニウム、クロム、チタンおよび窒素とを有する1つのナノレイヤ82と、アルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を有する別のナノレイヤ84とを有する。ベース層厚さGはナノレイヤ領域厚さFより小さい。 公开号:JP2011506115A 申请号:JP2010538039 申请日:2008-11-26 公开日:2011-03-03 发明作者:ティー. クィント、デニス;シュー、フェンティン;デルフリンガー、フォルカー−ヘルマン;ニ、ワンヤン;イー. バウアー、チャールズ;エム. ペニッチ、ロナルド;リュー、イーション 申请人:エリコン トレーディング リミテッド トリューブバッハ;ケンナメタル インコーポレイテッドKennametal Inc.; IPC主号:B23B27-14
专利说明:
[0001] 本発明は、被覆物とその被覆方式を適用する方法とに関する。より具体的には、本発明は、被覆方式がアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含有するナノレイヤを含む被覆物と、この被覆方式を適用する方法とに関する。例示的な被覆物としては、限定するものではないが、切削インサートと摩耗部品が挙げられる。] 背景技術 [0002] 被覆物の一例として被覆切削インサートを参照すると、被覆切削インサートは、通常、被覆方式をその上に備えた基板を含む。切削インサートは、通常、すくい面と逃げ面を有するとともにすくい面と逃げ面の交点(または接合点)に刃先が存在するような幾何構造を示す。一般的な被覆切削インサートでは、多様な技術のうちの任意の技術が基板に被覆方式を適用することができる。これらの技術としては化学気相蒸着法(CVD)と物理気相蒸着法(PVD)を挙げることができる。] [0003] 被覆切削インサートはチップ形成材料除去工程における材料の除去に有用である。チップ形成材料除去工程としては、限定するものではないが、粉砕、回転、穿孔、掘削などの工程が挙げられ、切削インサートは加工物を切削インサートと係合させて相対運動させる。被加工物と切削インサートとの係合点または係合面(すなわち切削インサート−チップ界面)には大量の熱が存在し得る。切削−チップ界面における熱が基板内へおよび被覆方式と基板との界面(すなわち被膜−基板界面)へ移動すると、切削インサート性能に有害となる可能性がある。より具体的には、熱が基板および被膜−基板界面へ移動すると被膜の早期過剰摩耗を引き起こす。被覆方式のこのような過剰摩耗は、通常、被覆切削インサートの耐用年数を短くする。] [0004] 被覆方式は、通常、切削インサート−チップ界面から基板および被膜−基板界面への熱移動の程度に影響を及ぼす。被覆方式の熱伝導はこのような熱移動の程度に大きな影響を及ぼし得る特性である。全体的に低い熱伝導率を示す被覆方式は、通常、基板内および被膜−基板界面における熱量を低減する。このような熱移動の低減の結果として、通常、熱移動の低減を示さない被覆切削インサートと比較して切削インサートの有効工具寿命が長くなる。] [0005] 従来、被覆切削インサートは様々な被覆方式を示してきた。例えば、石川の米国特許出願公開第2006/0269788A1号明細書では、層間で様々な組成を有するAlCrTiNの交互層を開示していると思われる。英語版要約によると、夏樹らの特開2003−340608A2号公報および秀充らの特開2004−106108A2号公報はそれぞれ、TiAlCrNの交互層を含むと思われる開示を示すが、各被覆層内には常にクロムが存在する。] [0006] Endrino(Uniaxis Balzer AGに譲渡)の国際公開第2006/084404A1号パンフレットは、AlCrN内部被覆層とAlCrN外部被覆層との利用を開示していると思われる。英語版要約によると、安彦の特開2004−050381A2号公報は、明らかにAlCrNの表面層を開示している。Derflingerら(OC Oerlikon Balzers AGに譲渡)の米国特許第7,226,670B2号明細書は、AlCrNは有益な被覆剤であることを教示していると思われる。] [0007] 山本らの米国特許出願公開第2005/0170162号明細書は、明らかに交互被覆方式の(Ti Al Cr)N被覆層を開示する。Vetterらの米国特許第6,730,392B2号明細書は、各層が異なる窒素/酸素比だけでなく異なる含有量のアルミニウム、チタン、クロムを有する交互被覆方式を開示していると思われる。戸井原の米国特許第7,008,688B2号明細書は、TiAlNとCrNとを使用する交互被覆層配置を示していると思われる。さらに、Selinderらの米国特許第6,103,357号明細書、Horlingらの米国特許第7,056,602号明細書、Horlingらの米国特許第7,083,868号明細書、Astrandらの国際公開第2006/041366A1号明細書は交互被覆層を有する様々な被覆方式を示しているように思われる。] [0008] 明らかに、山本らの米国特許第6,824,601B2号明細書、山本らの米国特許第6,919,288B2号明細書、山本らの米国特許第7,186,324B2号明細書は(Ti Al Cr)N膜の有用性を示す。] 課題を解決するための手段 [0009] 一形態では、本発明はチップ形成材料除去工程で使用される被覆切削インサートである。切削インサートは基板と耐摩耗被覆方式とを含む。耐摩耗被覆方式はチタン、アルミニウム、クロムおよび窒素を含有する中間多周期性ナノレイヤ被覆方式(mediate multi−periodicity nanolayer coating scheme)を含む。中間多周期性ナノレイヤ被覆方式は複数の組の交互層配置を含み、交互層配置のそれぞれはチタン、アルミニウムおよび窒素を含むベース層と、複数の組の交互ナノレイヤを含むナノレイヤ領域とを含む。交互ナノレイヤのそれぞれの組は、アルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む1つのナノレイヤと、アルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む別のナノレイヤとを含む。ベース層はベース層厚さを有し、ナノレイヤ領域はナノレイヤ領域厚さを有し、ベース層厚さはナノレイヤ領域厚さより小さい。] [0010] さらに別の形態では、本発明はチップ形成材料除去工程で使用される被覆切削インサートである。切削インサートは基板と耐摩耗被覆方式とを含む。耐摩耗被覆方式は、チタン、アルミニウム、クロムおよびXを含む中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を含む。中間多周期性ナノレイヤ被覆方式は複数の組の交互層配置を含み、交互層配置はそれぞれ、チタン、アルミニウムおよびXを含むベース層と、複数の組の交互ナノレイヤを含むナノレイヤ領域とを含む。交互ナノレイヤのそれぞれの組は、アルミニウム、クロム、チタンおよびXを含む1つのナノレイヤと、アルミニウム、クロム、チタンおよびXを含む別のナノレイヤとを含む。Xは、窒素、炭素、ホウ素、炭素と窒素、ホウ素と窒素、炭素とホウ素と窒素、窒素と酸素、炭素と酸素、ホウ素と酸素、炭素と窒素と酸素、ホウ素と窒素と酸素、および炭素とホウ素と窒素と酸素のうちの任意の1つを含む。ベース層はベース層厚さを有し、ナノレイヤ領域はナノレイヤ領域厚さを有し、ベース層厚さはナノレイヤ領域厚さより小さい。] [0011] さらに別の形態では、被覆方式を適用する方法であって、本方法は、チタン、アルミニウム、クロムおよびXを含む中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を適用する工程を含み、中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を適用する工程は、複数の組の交互層配置を適用する工程を含み、各交互層配置を適用する工程は、チタン、アルミニウムおよびXを含むベース層を付着する工程と、ナノレイヤ領域を付着する工程とを含み、ナノレイヤ領域を付着する工程は、複数の組の交互ナノレイヤを付着する工程を含み、交互ナノレイヤを付着する工程は、チタン、アルミニウム、クロムおよびXを含む1つのナノレイヤを付着する工程と、アルミニウム、クロム、チタンおよびXを含む別のナノレイヤを付着する工程と、を含む。] [0012] さらに別の形態では、本発明は被覆物である。本被覆物は基板と耐摩耗被覆方式とを含む。耐摩耗被覆方式は、チタン、アルミニウム、クロムおよび窒素を含有する中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を含む。中間多周期性ナノレイヤ被覆方式は複数の組の交互層配置を含み、交互層配置のそれぞれは、チタン、アルミニウムおよび窒素を含むベース層と複数の組の交互ナノレイヤを含むナノレイヤ領域とを含む。交互ナノレイヤのそれぞれの組は、アルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む1つのナノレイヤと、アルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む別のナノレイヤとを含む。ベース層はベース層厚さを有し、ナノレイヤ領域はナノレイヤ領域厚さを有し、ベース層厚さはナノレイヤ領域厚さより小さい。] [0013] 以下は、本特許出願の一部をなす添付図面の簡単な説明である。] 図面の簡単な説明 [0014] 本発明の被覆切削インサートの等角投影図であり、被覆切削インサートは基板と耐摩耗被覆方式とを含み、被膜の一部は基板を露出させるために除去されている。 本発明の耐摩耗被覆方式の特定の実施形態の概略図である。 図2の耐摩耗被覆方式のナノレイヤ被覆領域の拡大概略図である。 被覆切削インサートの角部刃先を示す本発明の被覆方式の断面の特定の実施形態の光学顕微鏡により撮影された顕微鏡写真(10μmスケール)である。 本発明の被覆方式の特定の実施形態のナノレイヤ被覆領域の透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影された顕微鏡写真(10nmのスケール)である。 耐摩耗被覆方式の特定の実施形態の面心立方(FCC:face centered cubic)結晶構造を示すTEMにより撮影された回折パターンである。 図5による2つの面心立方(FCC)結晶構造(すなわち図5による格子定数=0.4151nmを有するFm−3m構造と格子定数=0.4368nmを有するF−43m構造)の存在を示す耐摩耗被覆方式のX線回折グラフである。] 図2 図5 [0015] 図1は、概して参照符号20で示す本発明の被覆切削インサートの等角投影図である。被覆切削インサート20は基板22と被覆方式24とを含む。被膜24の一部は基板22を露出するために除去されている。被覆方式24は切削インサート基板22の表面上に存在する。被覆切削インサート20は逃げ面26とすくい面28とを示す。刃先30は逃げ面26とすくい面28との交点に存在する。基板22は、限定するものではないが、以下の材料、すなわち高速度鋼、コバルトタングステン炭化物を含む超硬合金、サイアロン、アルミナおよび窒化ケイ素を含むセラミック、炭化チタンベースの材料を含むサーメット、および焼結立方晶窒化ホウ素と焼結ダイヤとを含む超硬物質、を含む切削インサートとして使用するための基板として好適な多くの材料のうちの任意の1つであってよい。] 図1 [0016] 切削インサート20などの被覆切削インサートは、チップ形成材料除去工程での材料の除去に有用である。チップ形成材料除去工程としては、限定するものではないが、粉砕、回転、穿孔、掘削などの工程が挙げられ、切削インサートは加工物を切削インサートと係合させて相対運動させる。加工物と切削インサートとの係合点または係合面(すなわち切削インサート−チップ界面)には大量の熱が存在し得る。切削インサート−チップ界面における熱が基板内および被覆方式と基板との界面(すなわち被膜−基板界面)へ移動すると、切削インサート性能に有害となる可能性がある。より具体的には、基板および被膜−基板界面へ熱が移動すると、基板に対する被膜の接着性を弱め、被膜の早期過剰摩耗を引き起こす。被覆方式のこのような過剰摩耗は、通常、被覆切削インサートの耐用年数を短くする。] [0017] 被覆方式は、通常、切削インサートチップ界面から基板および被膜−基板界面への熱移動の程度に影響を及ぼす。基板および被膜−基板界面への熱(特には、過度の熱)の移動は被膜の完全性に有害であるので、このような熱移動を低減する全体熱伝導特性を示す被覆方式は有利である。この理由は、このような熱移動の低減は、通常、熱移動の低減を示さない被覆切削インサートと比較して切削インサートの有効工具寿命を長くするからである。本実施形態では、選択された被覆系列を使用することにより、全体被覆方式は、切削インサート−チップ界面(または接触領域チップ−被覆面)から基板および被膜−基板界面への熱移動の程度を最小化する全体的熱伝導特性を示す。] [0018] 特定の被覆方式は、アルミニウム、クロムおよび窒素(例えば窒化アルミニウムクロム)を含む1つまたは複数の被覆層(低熱伝導率を有する)と、チタン、アルミニウムおよび窒素(例えば窒化チタンアルミニウム)を含む1つまたは複数の層(高熱伝導率を有する)と、を含む多層構造を有する。特定の配置(または構造)においてこれらの2つの被覆層(すなわち窒化アルミニウムクロムと窒化チタンアルミニウムと)を使用することにより、切削インサート−チップ界面から基板および被膜−基板界面への熱移動が低減(または最小化)される。] [0019] より具体的には、窒化アルミニウムクロムの最上部被覆層を使用することで、窒化アルミニウムクロムの低熱伝導率により、切削インサート−チップ界面から基板および被膜−基板界面への熱の移動を妨ぐのを助ける。その結果、熱の一部はチップ内に残留し、被膜中に移行せず、被膜を通過せず、基板および被膜−基板界面中に移行しない。こうして、低熱伝導率を有する最上部被膜の使用は利点を提供することが認識されるが、このような層自体の使用により刃先での工具故障をもたらす刃先における熱の過度の集中のために有害となる可能性がある。] [0020] 低熱伝導率を有する最上部被覆層による刃先における過度の熱の存在を克服するために、被覆方式は、窒化アルミニウムクロム層下に窒化チタンアルミニウム(高熱伝導率を有する)の被覆下層を有することができる。被覆下層は、熱が窒化チタンアルミニウム被覆層内の全方向に(例えば、表面に対して垂直な方向および平行な方向に)広がるように最上部被覆層内の熱を放散する役目を果たす。このような熱放散(または熱の空間的分散)により刃先における熱の過度の集中が防がれる。] [0021] 熱移動が最上部被覆層から最も内側の被覆層へ順次進むにつれて、多層ナノレイヤ被覆系列(または被膜構造)内の被覆層は窒化アルミニウムクロム被覆層が熱移動を妨害または阻止し窒化チタンアルミニウム被覆層が熱を放散または分散するようにする。熱移動を阻止するかあるいは熱を放散する被膜機能は結果として、基板内のおよび被膜−基板界面における熱の低減をもたらす。さらに、基板とベース層間における低熱伝導率を有する別の窒化アルミニウムクロムベースの被覆層の存在は、基板および被膜−基板界面の熱移動を防止するのに役立つ。基板および被膜−基板界面への熱移動の低減は、基板内の熱亀裂形成の低減(または最小化)または遅延をもたらす。基板の熱亀裂の遅延または低減は、通常、切削インサートの耐用年数を増加する。] [0022] 図2は、本発明の、概して参照符号40で示す耐摩耗被覆方式の特定の実施形態を断面形式で示す。物理気相蒸着法(PVD)は被覆方式40を付着するために使用される技術である。耐摩耗被覆方式40はアルミニウム、クロムおよび窒素を含有する下層42を含む。被覆方式40はさらに、アルミニウム、クロムおよび窒素を含有する最上層46を含む。下層42および最上層46はそれぞれ上述したように低熱伝導性を示す。被覆方式40はまた、チタン、アルミニウム、クロムおよび窒素を含有する中間多周期性ナノレイヤ被覆方式(括弧44を参照)を含む。耐摩耗被覆方式40は約1500nm〜約15,000nmに等しい被膜厚さAを有する。中間多周期性ナノレイヤ被覆方式における異なる被覆層は異なる熱伝導率を有する、異なる組成のものであってよい。中間多周期性ナノレイヤ被覆方式の被覆層を選択的に配置することにより、熱移動を阻止するかあるいは熱を放散するように機能する被膜構造であって、基板内および被膜−基板界面における熱の低減をもたらす被膜構造を実現する。] 図2 [0023] 被覆方式はまた、下層42の上に存在する下部遷移被覆層43を含む。下部遷移被覆層43は下層42と中間多周期性ナノレイヤ被覆方式44間の遷移を与える。中間多周期性ナノレイヤ被覆方式44と最上層46間の遷移を与える上部遷移被覆層45が存在する。] [0024] この特定の実施形態では、下層42は基板に最も近く、最上層46は基板から最も遠い。中間多周期性ナノレイヤ被覆方式44は下部遷移被覆層43と上部遷移被覆層45との中間に位置する。他の下層(または複数の被覆層)が下層42と基板の表面との間に位置し得ることを認識すべきである。最上部被覆層(または複数の被覆層の最上部被覆層方式)が最上層46の上部に存在し得ることも認識すべきである。] [0025] 下層42は約20nm〜約500nmの範囲の下層厚さBを示す。最上層46は約300nm〜約2000nmの範囲の最上層厚さDを示す。より好適には、最上層46の厚さは最適熱障壁を実現するために500nmより大きい。下層42は(AlaCr1-a)N(ただし0.2≦a≦0.7、好ましくは0.5≦a≦0.69)の組成を含む。最上層46は(AlaCr1-a)N(ただし0.2≦a≦0.7、好ましくは0.5≦a≦0.69)の組成を含む。] [0026] 中間多周期性ナノレイヤ被覆方式44を参照すると、中間多周期性ナノレイヤ被覆方式44は複数の組の交互層配置を含む(括弧50、52、54、56、58、60、62を参照)。括弧50のような交互層配置の数は、切削インサートの特定の用途に応じて変化し得ることを認識すべきである。他の交互層配置を表す交互層配置50を参照すると、配置50はチタン、アルミニウムおよび窒素を含むベース層64を含む。交互層配置50はさらにナノレイヤ領域(括弧66を参照)を含む。] [0027] 図2Aを参照すると、ナノレイヤ領域66は複数の組の交互ナノレイヤ(68、70、72、74、76、78)を含む。1つのナノレイヤ82はアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含み、別のナノレイヤ84はアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む。1つのナノレイヤ82中のアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素(通常はこれら元素のうちの少なくとも1つ)の含有量は他のナノレイヤ84中のアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素の含有量と異なってよい。場合によっては、1つのナノレイヤ中のクロム含有量はほぼ零か、あるいは零に等しい。このような場合、1つのナノレイヤは(TiyAl1-y)N(ただし0.2≦y≦0.65)の組成を含む。他のナノレイヤは(TipAlqCr1-(p+q))N(ただし0.2≦p≦0.5、0.01≦q≦0.65、(p+q)<1、より好適には0.3≦p≦0.5、0.2≦q≦0.65、(p+q)<1)の組成を含む。両方のナノレイヤ中にクロムが存在する場合、ナノレイヤ領域の交互ナノレイヤ組の1つのナノレイヤは(TiyCrxAl1-(x+y))N(ただし0<x≦0.15、0.2≦y≦0.65)を含む。ナノレイヤ領域内の交互ナノレイヤ組の他のナノレイヤは(TipAlqCr1-(p+q))N(ただし0.2≦p≦0.65、0.01≦q≦0.65、(p+q)<1)を含む。] 図2A [0028] ナノレイヤ領域66は約100nm〜約900nmに等しいナノレイヤ領域厚さFを有する。さらに、交互ナノレイヤ(68、70、72、74、76、78)のそれぞれの組では、その中の交互ナノレイヤ(82、84)は約2nm〜約50nmの周期を有する。ベース層64は約100nm〜約500nmのベース層厚さGを有する。ベース層64は(TiyAl1-y)N(ただし0.2≦y≦0.65、より好適には0.3≦y≦0.6)の組成を含む。ベース層厚さGはナノレイヤ領域厚さFより小さい。] [0029] 下部遷移被覆層43を参照すると、この被覆層43は複数の組の交互ナノレイヤ状領域66を含む。1つの下部遷移ナノレイヤはアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含み、別の下部遷移ナノレイヤはアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む。1つの下部遷移ナノレイヤ中のアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素(通常はこれら元素のうちの少なくとも1つ)の含有量は他の下部遷移ナノレイヤ中のアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素の含有量と異なってよい。場合によっては、1つの下部遷移ナノレイヤ中のクロム含有量はほぼ零か、あるいは零に等しい。このような場合、1つの下部遷移ナノレイヤは(TiyAl1-y)N(ただし0.2≦y≦0.65)の組成を含む。他の下部遷移ナノレイヤは(TipAlqCr1-(p+q))N(ただし0.2≦p≦0.5、0.01≦q≦0.65、(p+q)<1、より好適には0.3≦p≦0.5、0.2≦q≦0.65、(p+q)<1)の組成を含む。両方の下部遷移ナノレイヤ中にクロムが存在する場合、1つの下部遷移ナノレイヤは(TiyCrxAl1-(x+y))N(ただし0<x≦0.15、0.2≦y≦0.65)を含む。他の下部遷移ナノレイヤは(TipAlqCr1-(p+q))N(ただし0.2≦p≦0.65、0.01≦q≦0.65、(p+q)<1)を含む。下部遷移被覆層領域の厚さは約50nm〜約200nmの範囲である。さらに、交互ナノレイヤのそれぞれの組では、その中の交互ナノレイヤは約2nm〜約50nmの範囲の周期を有する。] [0030] 上部遷移被覆層45を参照すると、この被覆層45は複数の組の交互上層遷移ナノレイヤ状領域66を含む。1つの上部遷移ナノレイヤはアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含み、別のナノレイヤはアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む。1つの上部遷移ナノレイヤ中のアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素(通常はこれら元素のうちの少なくとも1つ)の含有量は他の上部遷移ナノレイヤ中のアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素の含有量とは異なってよい。場合によっては、1つの上部遷移ナノレイヤ中のクロム含有量はほぼ零か、あるいはは零に等しい。このような場合、1つの上部遷移ナノレイヤは(TiyAl1-y)N(ただし0.2≦y≦0.65)の組成を含む。他の上部遷移ナノレイヤは(TipAlqCr1-(p+q))N(ただし0.2≦p≦0.5、0.01≦q≦0.65、(p+q)<1、より好適には0.3≦p≦0.5、0.2≦q≦0.65、(p+q)<1)の組成を含む。両方の上部遷移ナノレイヤ中にクロムが存在する場合、1つの上部遷移ナノレイヤは(TiyCrxAl1-(x+y))N(ただし0<x≦0.15、0.2≦y≦0.65)を含む。他の上部遷移ナノレイヤは(TipAlqCr1-(p+q))N(ただし0.2≦p≦0.65、0.01≦q≦0.65、(p+q)<1)を含む。上部遷移被覆層領域の厚さは約50nm〜約200nmの範囲である。さらに、交互ナノレイヤのそれぞれの組では、その中の交互ナノレイヤは約2nm〜約50nmの範囲の周期を有する。] [0031] 下層42は下層熱伝導率を有する。ベース層64はベース層熱伝導率を有する。下層熱伝導率はベース層熱伝導率より小さい。最上層46は最上層熱伝導率を有し、最上層熱伝導率はベース層熱伝導率より小さい。] [0032] 耐摩耗被覆方式の組成に関して、下層、最上層および中間多周期性ナノレイヤ被覆方式のうちの任意の1つまたは複数はそれぞれ、上述した金属元素に加えまたはその代わりに、シリコンおよび周期表第IVb、Vb、VIb族の1つまたは複数の金属をさらに含む。より具体的には、下層および最上層並びに中間多周期性ナノレイヤ被覆方式のうちの任意の1つまたは複数はそれぞれ、チタン、クロムおよびアルミニウムに加えまたはその代わりに、タングステン、バナジウム、モリブデン、ニオブおよびシリコンのうちの1つまたは複数をさらに含む。] [0033] 下層、最上層および中間多周期性ナノレイヤ被覆方式の上記組成における窒素に炭素を追加することができるということを認識すべきである。このような状況では、下層は(AlaCr1-a)CsNt(ただし0.2≦a≦0.7(より好適には、0.5≦a≦0.69)、s+t=1)の組成を有する。最上層は(AlaCr1-a)CsNt(ただし0.2≦a≦0.7(より好適には、0.5≦a≦0.69)、s+t=1)の組成を有する。交互層配置(例えば参照符号50)の組を参照すると、ベース層は(TiyAl1-y)CsNt(ただし0.2≦y≦0.65(より好適には、0.3≦y≦0.6)、s+t=1)の組成を有する。1つのナノレイヤ(例えば、組68のナノレイヤ82)がクロムを含有せず、他のナノレイヤ(例えば、組84のナノレイヤ68)がクロムを含有する状況では、1つのナノレイヤは(TiyAl1-y)CsNt(ただし0.2≦y≦0.65(より好適には、0.3≦y≦0.6)、s+t=1)の組成を有し、他のナノレイヤは(TipAlqCr1-(p+q))CsNt(ただし0.2≦p≦0.5、0.01≦q≦0.65、(p+q)<1、(より好適には、0.3≦p≦0.5、0.2≦q≦0.65、(p+q)<1)、s+t=1)の組成を有する。両方のナノレイヤがクロムを含有する別の状況では、ナノレイヤ領域内の交互ナノレイヤ組の1つのナノレイヤは、(TiyCrxAl1-(x+y))CsNt(ただし0<x≦0.15、0.2≦y≦0.65、s+t=1)を含み、ナノレイヤ領域内の交互ナノレイヤ組の他のナノレイヤは(TipAlqCr1-(p+q))CsNt(ただし0.2≦p≦0.5、0.01≦q≦0.65、(p+q)<1、s+t=1)を含む。他の状況では、2つのナノレイヤ間でクロムが異なってもよいということを認識すべきである。] [0034] 耐摩耗被覆方式は、炭素および/または窒素以外の非金属成分を含むことができるということを認識すべきである。この点に関して、耐摩耗被覆方式は、アルミニウム、クロムおよびXを含有する下層とアルミニウム、クロムおよびXを含有する最上層とを含む。下層は基板に最も近く、最上層は基板から最も遠い。耐摩耗被覆方式はさらに、下層と最上層の中間に位置する中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を含む。] [0035] さらに、耐摩耗被覆方式が炭素および/または窒素以外の非金属成分を含有することができる状況では、中間多周期性ナノレイヤ被覆方式はチタン、アルミニウム、クロムおよびXを含有する。中間多周期性ナノレイヤ被覆方式は、複数の交互層配置(交互層配置のそれぞれはチタン、アルミニウムおよびXを含むベース層を含む)と、交互ナノレイヤ(1つのナノレイヤはチタン、アルミニウム、クロムおよびXを含み、別のナノレイヤはアルミニウム、クロム、チタン、Xを含む)を含むナノレイヤ領域と、を含む。この被膜配置において、そして被覆層のすべてについて、Xは、窒素、炭素、ホウ素、炭素と窒素、ホウ素と窒素、炭素とホウ素と窒素、窒素と酸素、炭素と酸素、ホウ素と酸素、炭素と窒素と酸素、ホウ素と窒素と酸素、および炭素とホウ素と窒素と酸素のうちの任意の1つを含む。] [0036] 表1に、図2、図2Aで説明した被覆方式の通常の寸法を記載する。] 図2 図2A [0037] 図3は、被覆切削インサートの角部刃先を示す本発明(本発明の試料番号1)の被覆方式の特定の実施形態の光学顕微鏡により撮影された顕微鏡写真(10μmスケール)である。基板は、約10.5重量%コバルト、約6.3重量%タンタル、約5.4重量%チタン、約3.1重量%ニオブの組成を有し、残部は炭化タングステン粒である超硬タングステン(コバルト)合金を含む。基板は次の特性、すなわち、1立方センチ当たり約12.3グラムに等しい密度(ASTMB311の手順に従って測定された)、約180エルステッドに等しい保磁力(HC)(ASTM B887に従って測定された)、約1〜6μmに等しい粒度(ASTM B390の比較表を参照することにより確定された)、および約91.5Rockwell Aに等しい硬さを有する。図3は、耐摩耗被覆方式が約200nmに等しい厚さの下層を含み、アルミニウムとクロムと窒素との組成を有することを示す。耐摩耗被覆方式はまた、約600nmに等しい厚さの最上層を有し、かつアルミニウムとクロムと窒素との組成を有する。] 図3 [0038] さらに図3を参照すると、耐摩耗被覆方式はまた、上部遷移層と下部遷移層との中間に位置する中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を有する。中間多周期性ナノレイヤ被覆方式は複数の交互層配置を含み、交互層配置のそれぞれは、チタン、アルミニウムおよび窒素を含むベース層と、交互ナノレイヤを含むナノレイヤ領域とを含み、1つの遷移ナノレイヤはアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含み、別のナノレイヤはアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む。] 図3 [0039] 各交互層配置(8個ある)に関しては、ベース層は約170nmの厚さを有し、ナノレイヤ領域は約350nmに等しい厚さを有する。耐摩耗被覆方式の合計厚さは、約5120nm(すなわち200nm+80nm+8×(170nm+350nm)+80nm+600nm)に等しい。ナノレイヤ領域では、TiAlCrN領域(Crが乏しい)とAlCrTiN領域(Crが豊富)との合計厚さが約4nmに等しくなるように、交互ナノレイヤのそれぞれの組の合計厚さは約4nmに等しい。TiAlCrN領域(Crが乏しい)とAlCrTiN領域(Crが豊富)との厚さの比(すなわち、TiAlCrN領域(Crが乏しい):AlCrTiN領域(Crが豊富))は約2:1である。] [0040] 図4は、本発明の試料番号1のナノレイヤ領域において透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影された顕微鏡写真(10nmスケール)である。本発明の試料番号1のナノレイヤ領域の化学的性質を表2に示す。] 図4 [0041] 図4Aは、耐摩耗被覆方式の本発明の試料番号1の面心立方(FCC)結晶構造を示すTEMにより撮影された制限視野回折パターンである。これは、回折パターンのリングの特徴的な相対直径から明らかである。] 図4A [0042] 図5は、2つの面心立方(FCC)結晶構造の存在を示す、本発明の試料番号1の耐摩耗被覆方式のX線回折パターンである。計数は縦軸に沿って記載され、位置(2θ)は水平軸に沿って示される。] 図5 [0043] 被覆方式の用途に有用な1つの好ましい被覆装置は、Seeliらの米国特許第7,025,863号明細書だけでなく欧州特許第1186681号明細書に記載されている。これらの特許文献のそれぞれを参照により本明細書に援用する。] [0044] 上に参照されたPVDシステム(多層のAlの蒸着)による本発明の耐摩耗被覆方式の特定の実施形態のアプリケーションに関しては、多層Ti−Al−(X)−N/Al−Cr−(X)−N−被膜の蒸着はOerlikon Balzers Coating社の工業用被覆システム(Type RCS,INNOVA)を使用して行われた。この被覆システムの説明は欧州特許第1186681号明細書中の第7段18行目〜第9段25行目の明細と図3〜6に記載され、上記欧州特許を参照により本明細書に援用する。上記欧州特許に相当する米国のものはSeeliらの米国特許第7,025,863号明細書であり、対応する文章は第6段22行目〜第7段54行目にあり、上記米国特許を参照により本明細書に援用する。] 図3 図4 図4A 図5 [0045] これらの被膜を製造するために、それらの直径に関係する洗浄部品(特に超硬インサート)は、基板回転搬送装置上に2重または3重に取り付けられ、溶融冶金製造された4つのTi−Alターゲットおよび粉末冶金製造された2つのAl−Cr−(X)ターゲットは塗布チャンバの側壁上の6つの陰極アーク光源内に置かれた。ターゲットの配置の形状は主として、RCS(Oerlikon Balzers)被覆システムの八角形レイアウト(互いに対向されて配置された2つの加熱セグメントが連続配置された3つのアーク陰極を有する2つのセグメントグループを分離するレイアウト)により画定される。本実験に関しては、Al−Crターゲットは1セグメントの各中央位置に対向して取り付けられたが、原理上、様々なターゲット配置をこの種の被膜の蒸着に用いることができる。これらの被膜を蒸着するためには、幾何学的に等価位置の少なくとも2つのアーク陰極を使用しなければならない。] [0046] その後、(被覆すべき)部品は、被覆システム内に恒久的に取り付けられた輻射ヒータを使用することにより500℃程度まで加熱された。加熱工程後、部品の表面は、0.2Pa圧力のアルゴン雰囲気中で−100〜−250Vの直流バイアス電圧を使用しアルゴンエッチングにより洗浄された。] [0047] その後、18分間程、3kWの電力、−40Vの基板バイアス電圧により2つのAl−Crソースを使用して、0.2μm程の厚さを有するAl−Cr−N下層を形成した。次に、下部Ti−Al−Cr−N遷移層を蒸着するために2つのAl−Crターゲットと4つのTi−Alターゲットとを2分間使用した。その後、最初に4つのTi−Alソースが約5kWの電力で5分程使用され、次にTi−Al−Cr−N層が形成された運転中の4つのTi−Alソースに加えさらに2つのAl−Crソースがスイッチオンされて、交互層配置被膜が蒸着された。6つのソースはすべて約7分間運転された。本実施形態については、完成中間多周期性ナノレイヤの所与の被膜厚を得るためにこの層パッケージは数回繰り返された。次に、上部Ti−Al−Cr−N遷移層を蒸着するために2つのAl−Crターゲットと4つのTi−Alターゲットとが2分間使用された。最後に、再び、下層と同じパラメータを使用し60分程の被覆時間により0.6μmの厚さを有するAl−Cr−N最上層を蒸着した。すべての被膜は、約3Paの圧力の窒素雰囲気内で約−40Vのバイアス電圧で蒸着された。一般には、単層毎の作動圧力は0.5〜8Paの範囲であってよいが、0.8〜5Paの範囲が好ましい。窒化物の蒸着については、純窒素雰囲気または窒素とアルゴンのような貴ガスとの混合物を用いることができ、一方、炭窒化物の蒸着のためには窒素と炭素含有気体との混合物を使用することができる。さらに、酸素またはホウ素含有膜の製造については、酸素またはホウ素含有気体を被覆処理に混合することができる。] [0048] 次の実施例では、本発明の耐摩耗被覆方式だけでなく被覆切削インサートの有用性および性能を実証する。] [0049] 試験1は、実験1〜6とラベルが付けられた6つの被覆切削インサートの試験を含む。実験1〜5は、商業市場における実際の従来技術の被覆切削インサートを表す。実験6は本発明の被覆切削インサートである。試験1では、形状SDPT1204PDSRGB2の超硬合金インサートを使用した、合金鋼の高速正面切削の性能を比較する。被加工材料は合金鋼4140(DIN1.7225(42CrMo4))である。切削パラメータは以下の通りである。切削速度vc=300m/min、送り速度fz=0.2mm/歯、切削深さap=4mm、切削幅ae=61mm、パス長l=610mm、冷却液:乾式、摩耗基準:vb,max=0.3mm。試験結果を以下の表3に示す。 試験1は、高速切削用途における被覆超硬合金インサートの寿命の比較を示す。これらの結果は、本発明の被覆切削インサート(すなわち実験6)が商業工具ベンチマークである実験1に比較して2倍を超える寿命増加を示すことを示す。] [0050] 試験2は5つの被覆切削インサート(実験7〜11)の試験を含む。ただし実験番号7は本発明の被覆切削インサートである。実験8〜11は、他の被覆方式がその上に存在する被覆切削インサートを表す。実験7〜11のターゲット組成、被膜、厚さ、付着性と微小硬度を表4に示す。ターゲット電力、基板バイアス電圧、作動圧力および蒸着温度などのプロセスパラメータを表5に示す。試験2は、形状SDPT1204PDSRGB2の超硬合金インサートを使用した合金鋼の高速正面切削を含む。被加工材料は合金鋼4140(DIN 1.7225(42CrMo4))である。切削パラメータは以下の通りである。切削速度vc=300m/min、送り速度fz=0.2mm/歯、切削深ap=4mm、切削幅ae=61mm、パス長l=610mm、冷却液:乾式、摩耗基準:vb,max=0.3mm。試験2の試験結果を以下の表6に示す。 実験7〜11では、異なる種類の多層被膜を蒸着するために様々なターゲット材料が使用されたことは明らかである。既に、ベンチマーク被膜(例1の実験1を参照)との比較における改善を観測することができたが、被膜(本発明(実験7)で説明される)は最も有望な性能を示した。] [0051] 試験3は、炭素鋼の正面切削における2つの被覆切削インサート(すなわち実験12と13)の試験を含む。被覆切削インサートは形状SDMT1205PDR−HQMを有した超硬合金インサートであった。被加工材料は炭素鋼1045(DIN 1.1191(Ck45))であった。切削パラメータは以下の通りであった。切削速度vc=350m/min、送り速度fz=0.2mm/歯、切削深さap=4mm、冷却液:乾式、摩耗基準:vb,max=0.3mm。表7に試験結果を示す。 試験3では、本発明の被覆切削インサート(実験12)は従来技術の被覆切削インサート(実験13)に対し試験された。この切削試験では、2.6倍もの著しい寿命の増加を観測することができた。最大摩耗は工具側面上にノッチ摩耗として見出された。] [0052] 試験4は、形状SDMT1205PDR−HQMの超硬合金インサートを使用した合金鋼の正面切削における3つの被覆切削インサートの試験(実験14〜16)を含む。被加工材料は合金鋼4140(DIN 1.7225(42CrMo4))である。切削パラメータは以下の通りである。切削速度vc=180m/min、送り速度fz=0.2mm/歯、切削深さap=4mm、冷却液:乾式、摩耗基準:vb,max=0.3mm。表8には、試験4の結果を示す。 試験4の結果は、再び、市場(実験15、16)におけるこの種のインサートで標準的に入手可能な被膜に対する本発明の被覆切削インサート(すなわち実験14)の比較を示す。この試験は中程度の切削速度で行われた。実験16と比較し、89%の性能増加が認められた。この試験では、最大摩耗は切削工具の角部に観測された。] [0053] 試験5は、KSEM型モジュール超硬合金掘削インサートを使用した灰鋳鉄における中高速掘削の4つの被覆切削インサートの試験を含む。被加工材料はクラス40灰鋳鉄(約250BHN)であった。切削パラメータは以下の通りであった。切削速度vc=198m/min、送り速度fz=0.35mm/歯、直径=12.5mm、穴深さ=62mm、冷却液:Castrol Syntilo合成乳剤(圧力15bar、刃物冷却アダプタ(tool cooling)による供給方式)。摩耗基準はvb,max=0.38mmであった。結果を以下の表9に示す。 試験5の結果は再び、市場(実験18〜20)におけるこの種の掘削用モジュールインサートで標準的に入手可能な被膜に対する本発明の被覆切削インサート(実験17)の比較を示す。この試験は中間高レベル切削速度で行われた。63%近くの性能増加が認められた。この試験では、最大摩耗は切削工具の角部に観測された。] [0054] 本発明の耐摩耗被覆方式が以前の被覆方式に勝る利点を示すことは明白である。特に、本発明の耐摩耗被覆方式は、選択された被覆系列と被覆組成物とを使用することにより低熱伝導率を発揮する。このようなパラメータは被膜全体の熱伝導率に影響を与え、したがって切削インサート−チップ界面(または接触領域チップ−被覆面)から基板および被膜−基板界面への熱移動の程度に影響を与える。基板および被膜−基板界面への熱移動の低減は、基板内の熱亀裂形成の低減(または最小化)または遅延をもたらす。基板の熱亀裂の遅延または低減は、通常、切削インサートの耐用年数を増加する。] [0055] より具体的には、窒化アルミニウムクロム最上部被覆層の使用により、切削インサート−チップ界面から基板および被膜−基板界面への著しい熱量の移動を妨げるのを助けることは明白である。1つの結果は、熱の大半がチップ内に残るということである。別の結果は、熱移動が全方向に(例えば、表面に垂直な方向および平行な方向に)発生するので最上部被覆層内に移動する熱が窒化チタンアルミニウム被覆層内の全方向に広がるということである。これは、刃先近くの最上部被膜−チップ接触領域で発生する熱の集中を低減させ、より大きな表面領域にわたって熱を放散し、最上部被膜から基板−被膜界面までの温度を低下させる。ベース層内の多層ナノレイヤ被覆系列において被覆層を組み合わせることは、熱移動が阻止されるかあるいは基板から分散されるということである。最後に、基板とベース層間の別の窒化アルミニウムクロム被覆層の存在は、基板と被膜−基板界面を熱移動から保護するに役立つ。] [0056] 特定の実施形態の上記説明の主な強調点は、チップ形成材料除去工程において被覆切削インサートを使用することにある。しかしながら、被覆切削インサートは本発明の被覆物の特定の一実施形態に過ぎないということを理解すべきである。被覆物は例えば摩耗部品などの他の被覆物を包含するということが想定される。] 実施例 [0057] 本明細書で特定された特許および他の文献を参照により本明細書に援用する。本発明の他の実施形態は、本明細書の検討またはここに開示した本発明の実施から当業者にとっては明白となる。本明細書と実例は、例示的に過ぎず、本発明の範囲を限定しないように意図されている。本発明の真の範囲と趣旨は以下の特許請求の範囲により示される。]
权利要求:
請求項1 チップ形成材料除去工程で使用される被覆切削インサートであって、前記切削インサートは基板と耐摩耗被覆方式とを含み、前記耐摩耗被覆方式は、チタン、アルミニウム、クロムおよび窒素を含有する中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を含み、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式は複数の組の交互層配置を含み、前記交互層配置のそれぞれは、チタン、アルミニウムおよび窒素を含むベース層と、複数の組の交互ナノレイヤを含むナノレイヤ領域とを含み、前記交互ナノレイヤのそれぞれの組はアルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む1つのナノレイヤと、アルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む別のナノレイヤとを含み、前記ベース層はベース層厚さを有し、前記ナノレイヤ領域はナノレイヤ領域厚さを有し、前記ベース層厚さは前記ナノレイヤ領域厚さより小さい、被覆切削インサート。 請求項2 前記ベース層は(TiyAl1-y)N(ただし0.2≦y≦0.65)を含み、前記ナノレイヤ領域内の前記交互ナノレイヤ組の1つのナノレイヤは(TiyCrxAl1-(x+y))N(ただし0<x≦0.15、0.2≦y≦0.65)を含み、前記ナノレイヤ領域内の前記交互ナノレイヤ組の他のナノレイヤは(TipAlqCr1-(p+q))N(ただし0.2≦p≦0.65、0.01≦q≦0.65、(p+q)<1)を含む、請求項1に記載の被覆切削インサート。 請求項3 前記耐摩耗被覆方式は、アルミニウム、クロム、および窒素を含有する下層と、アルミニウム、クロム、窒素を含有する最上層と、複数の組の交互下部遷移ナノレイヤを含む下部遷移被覆領域であって、前記交互下部遷移ナノレイヤの各組は、アルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む1つの下部遷移ナノレイヤと、アルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む別の下部遷移ナノレイヤとを含み、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式と前記下層との間の遷移を与える下部遷移被覆領域と、複数の組の交互上層遷移ナノレイヤを含む上部遷移被覆領域であって、前記交互ナノレイヤのそれぞれの組は、アルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む1つの上部遷移ナノレイヤと、アルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む別の上部遷移ナノレイヤとを含み、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式と前記最上層との間の遷移を与える上部遷移被覆領域と、をさらに含み、前記下層は前記最上層より基板に近く、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式は、前記下部遷移被覆領域と前記上部遷移被覆領域との中間に位置する、請求項1に記載の被覆切削インサート。 請求項4 前記下部遷移被覆領域は下部遷移厚さを有し、前記上部遷移被覆領域は上部遷移厚さを有し、前記下部遷移厚さは前記ナノレイヤ領域厚さより小さく、前記上部遷移厚さは前記ナノレイヤ領域厚さより小さい、請求項3に記載の被覆切削インサート。 請求項5 前記下層は約20nm〜約500nmの範囲の下層厚さであり、前記最上層は約300nm〜約2000nmの範囲の最上層厚さであり、前記交互層配置の各組は約200nm〜約1400nmの範囲の厚さであり、前記交互ナノレイヤの組は約2nm〜約50nmの範囲の周期を有する、請求項3に記載の被覆切削インサート。 請求項6 前記下層は(AlaCr1-a)N(ただし0.2≦a≦0.7)を含み、前記最上層は(AlaCr1-a)N(ただし0.2≦a≦0.7)を含み、前記1つの上部遷移ナノレイヤは(TiyCrxAl1-(x+y))N(ただし0<x≦0.15、0.2≦y≦0.65)を含み、前記他の上部遷移ナノレイヤは(TipAlqCr1-(p+q))N(ただし0.2≦p≦0.5、0.01≦q≦0.65、(p+q)<1)を含み、前記1つの下部遷移ナノレイヤは(TiyCrxAl1-(x+y))N(ただし0<x≦0.15、0.2≦y≦0.65)を含み、前記他の下部遷移ナノレイヤは(TipAlqCr1-(p+q))N(ただし0.2≦p≦0.5、0.01≦q≦0.65、(p+q)<1)を含む、請求項3に記載の被覆切削インサート。 請求項7 前記下層は下層熱伝導率を有し、前記ベース層はベース層熱伝導率を有し、前記下層熱伝導率は前記ベース層熱伝導率より小さく、前記最上層は最上層熱伝導率を有し、前記最上層熱伝導率は前記ベース層熱伝導率より小さい、請求項3に記載の被覆切削インサート。 請求項8 前記下層、前記最上層、前記上部遷移被覆領域、前記下部遷移被覆領域および前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式はそれぞれ、周期表の第IVb、Vb、VIb族の1つまたは複数の金属と、アルミニウムと、シリコンとをさらに含む、請求項3に記載の被覆切削インサート。 請求項9 前記下層、前記最上層、前記上部遷移被覆領域、前記下部遷移被覆領域、および前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式はそれぞれ物理気相蒸着により付着される、請求項3に記載の被覆切削インサート。 請求項10 前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式は炭素をさらに含み、前記ベース層は(TiyAl1-y)CsNt(ただし0.2≦y0.65、s+t=1)を含み、前記ナノレイヤ領域内の前記交互ナノレイヤ組の1つのナノレイヤは(TiyCrxAl1-(x+y))CsNt(ただし0<x≦0.15、0.2≦y≦0.65、s+t=1)を含み、前記ナノレイヤ領域内の前記交互ナノレイヤ組の他のナノレイヤは(TipAlqCr1-(p+q))CsNt(ただし0.2≦p≦0.5、0.01≦q≦0.65、(p+q)<1、s+t=1)を含む、請求項1に記載の被覆切削インサート。 請求項11 前記耐摩耗被覆方式は、式(AlaCr1-a)CsNt(ただし0.2≦a≦0.7、s+t=1)に従うアルミニウム、クロム、窒素および炭素を含む下層と、式(AlaCr1-a)CsNt(ただし0.2≦a≦0.7、s+t=1)に従うアルミニウム、クロム、窒素および炭素を含む最上層と、複数の組の交互下部遷移ナノレイヤを含む下部遷移被覆領域であって、前記交互下部遷移ナノレイヤの各組は、アルミニウム、クロム、チタン、窒素および炭素を含む1つの下部遷移ナノレイヤと、アルミニウム、クロム、チタン、窒素および炭素を含む別の下部遷移ナノレイヤとを含み、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式と前記下層との間の遷移を与える下部遷移被覆領域と、複数の組の交互上層遷移ナノレイヤを含む上部遷移被覆領域であって、前記交互ナノレイヤのそれぞれの組は、アルミニウム、クロム、チタン、窒素および炭素を含む1つの上部遷移ナノレイヤと、アルミニウム、クロム、チタン、窒素および炭素を含む別の上部遷移ナノレイヤとを含み、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式と前記最上層との間の遷移を与える上部遷移被覆領域とをさらに含み、前記下層は前記最上層より基板に近く、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式は、前記下部遷移被覆領域と前記上部遷移被覆領域との中間に位置する、請求項1に記載の被覆切削インサート。 請求項12 前記切削インサートは、すくい面および逃げ面を有し、前記すくい面は前記逃げ面と交差してその交点に切断刃を形成する、請求項1に記載の被覆切削インサート。 請求項13 前記基板は、高速度鋼、コバルトタングステン炭化物を含む超硬合金、サイアロン、アルミナおよび窒化ケイ素を含むセラミック、炭化チタンベースの材料を含むサーメット、および焼結立方晶窒化ホウ素と焼結ダイヤとを含む超硬物質のうちの1つを含む、請求項1に記載の被覆切削インサート。 請求項14 チップ形成材料除去工程で使用される被覆切削インサートであって、前記切削インサートは基板と耐摩耗被覆方式とを含み、前記耐摩耗被覆方式は、チタン、アルミニウム、クロムおよびXを含む中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を含み、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式は、複数の組の交互層配置を含み、前記交互層配置のそれぞれは、チタン、アルミニウムおよびXを含むベース層と複数の組の交互ナノレイヤを含むナノレイヤ領域とを含み、前記交互ナノレイヤのそれぞれの組はアルミニウム、クロム、チタンおよびXを含む1つのナノレイヤとアルミニウム、クロム、チタンおよびXを含む別のナノレイヤとを含み、Xは、窒素、炭素、ホウ素、炭素と窒素、ホウ素と窒素、炭素とホウ素と窒素、窒素と酸素、炭素と酸素、ホウ素と酸素、炭素と窒素と酸素、ホウ素と窒素と酸素、および炭素とホウ素と窒素と酸素のうちの任意の1つを含み、前記ベース層はベース層厚さを有し、前記ナノレイヤ領域はナノレイヤ領域厚さを有し、前記ベース層厚さは前記ナノレイヤ領域厚さより小さい、被覆切削インサート。 請求項15 前記耐摩耗被覆方式は、アルミニウム、クロムおよびXを含有する下層と、アルミニウム、クロムおよびXを含有する最上層と、複数の組の交互下部遷移ナノレイヤを含む下部遷移被覆領域であって、前記交互下部遷移ナノレイヤの各組は、アルミニウム、クロム、チタンおよびXを含む1つの下部遷移ナノレイヤと、アルミニウム、クロム、チタンおよびXを含む別の下部遷移ナノレイヤとを含み、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式と前記下層との間の遷移を与える下部遷移被覆領域と、複数の組の交互上層遷移ナノレイヤを含む上部遷移被覆領域であって、前記交互上部遷移ナノレイヤの各組は、アルミニウム、クロム、チタンおよびXを含む1つの上部遷移ナノレイヤと、アルミニウム、クロム、チタンおよびXを含む別の上部遷移ナノレイヤとを含み、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式と前記最上層との間の遷移を与える上部遷移被覆領域とをさらに含み、前記下層は前記最上層より基板に近く、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式は、前記下部遷移被覆領域と前記上部遷移被覆領域との中間に位置する、請求項14に記載の被覆切削インサート。 請求項16 Xは、窒素、炭素、ホウ素、炭素と窒素、ホウ素と窒素、炭素とホウ素と窒素、窒素と酸素、炭素と酸素、ホウ素と酸素、炭素と窒素と酸素、ホウ素と窒素と酸素、および炭素とホウ素と窒素と酸素のうちの任意の1つを含む、請求項15に記載の被覆切削インサート。 請求項17 被覆方式を適用する方法であって、前記方法は、チタン、アルミニウム、クロムおよびXを含有する中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を適用する工程を含み、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を適用する工程は、複数の組の交互層配置を適用する工程を含み、各交互層配置を適用する工程は、チタン、アルミニウムおよびXを含むベース層を付着する工程と、ナノレイヤ領域を付着する工程と、を含み、前記ナノレイヤ領域を付着する工程は、複数の組の交互ナノレイヤを付着する工程を含み、前記交互ナノレイヤを付着する工程は、チタン、アルミニウム、クロムおよびXを含む1つのナノレイヤを付着する工程と、アルミニウム、クロム、チタンおよびXを含む別のナノレイヤを付着する工程と、を含む、方法。 請求項18 切削インサート基板を設ける工程と、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を付着する前に、前記基板に最も近くなるようにアルミニウム、クロムおよびXを含有する下層を付着する工程であって、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を付着する工程は、前記下層に前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を適用する工程をさらに含む、工程と、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式にアルミニウム、クロムおよびXを含有する最上層を適用する工程と、をさらに含む、請求項17に記載の被覆方式を適用する方法。 請求項19 前記下層を付着後でかつ前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を適用する前に、複数の組の交互下部遷移ナノレイヤを含む下部遷移層を付着する工程であって、チタン、アルミニウム、クロムおよびXを含む1つの下部遷移ナノレイヤを付着する工程と、アルミニウム、クロム、チタンおよびXを含む別の下部遷移ナノレイヤを付着する工程と、を含む工程と、前記中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を付着した後に、複数の組の交互上層遷移ナノレイヤを含む上部遷移層を付着する工程であって、複数の組の交互上層遷移ナノレイヤを付着する工程を含み、前記複数の組の交互上層遷移ナノレイヤを付着する工程は、チタン、アルミニウム、クロムおよびXを含む1つの上部遷移ナノレイヤを付着する工程と、アルミニウム、クロム、チタンおよびXを含む別の上部遷移ナノレイヤを付着する工程と、を含む工程とをさらに含む、請求項18に記載の被覆方式を付着する方法。 請求項20 Xは、窒素、炭素、ホウ素、炭素と窒素、ホウ素と窒素、炭素とホウ素と窒素、窒素と酸素、炭素と酸素、ホウ素と酸素、炭素と窒素と酸素、ホウ素と窒素と酸素、および炭素とホウ素と窒素と酸素のうちの任意の1つを含む、請求項17に記載の被覆方式を付着する方法。 請求項21 基板と耐摩耗被覆方式とを含む被覆物であって、前記耐摩耗被覆方式は、チタン、アルミニウム、クロムおよび窒素を含有する中間多周期性ナノレイヤ被覆方式であって、複数の組の交互層配置を含む中間多周期性ナノレイヤ被覆方式を含み、前記交互層配置のそれぞれは、チタン、アルミニウムおよび窒素を含むベース層と、複数の組の交互ナノレイヤを含むナノレイヤ領域であって、前記交互ナノレイヤのそれぞれの組は、アルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む1つのナノレイヤと、アルミニウム、クロム、チタンおよび窒素を含む別のナノレイヤとを含む、ナノレイヤ領域と、を含み、前記ベース層はベース層厚さを有し、前記ナノレイヤ領域はナノレイヤ領域厚さを有し、前記ベース層厚さは前記ナノレイヤ領域厚さより小さい、被覆物。 請求項22 前記ベース層は(TiyAl1-y)N(ただし0.2≦y≦0.65)を含み、前記ナノレイヤ領域の前記交互ナノレイヤ組の1つのナノレイヤは(TiyCrxAl1-(x+y))N(ただし0<x≦0.15、0.2≦y≦0.65)を含み、前記ナノレイヤ領域内の前記交互ナノレイヤ組の他のナノレイヤは(TipAlqCr1-(p+q))N(ただし0.2≦p≦0.65、0.01≦q≦0.65、(p+q)<1)を含む、請求項21に記載の被覆物。 請求項23 前記基板は、高速度鋼、コバルトタングステン炭化物を含む超硬合金、サイアロン、アルミナおよび窒化ケイ素を含むセラミック、炭化チタンベースの材料を含むサーメット、および焼結立方晶窒化ホウ素と焼結ダイヤとを含む超硬物質のうちの1つを含む、請求項24に記載の被覆物。
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